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会社の成長を支えるデータ分析のスペシャリスト

プロローグ

2人が在籍する商品管理部は、全店舗における売上データなどの各種数値を収集・チェックし、データから問題点を抽出することで、店舗の最適な売り場作りをサポートするのが主な業務である。「収益力の回復」を会社の方針として掲げている中、経営陣の同部署に対する期待は高く、実際の貢献度も高い。今回は全貌が見えにくい同部署の仕事内容を、あるプロジェクトを通して紹介する。

1章:年末商戦に向けた挑戦

12月は、シャンメリーやクリスマス用のブーツ、おせち料理に使う調味料、鏡餅、しめ飾りなどの季節商品が多く、「1円でも安くお客様に商品を提供する」ことが信念である大黒天物産のスーパーには、多くの消費者が押し寄せる。バイヤーは、過去の経験や昨年の売上データを参考にして各店舗に投入する商品や数量を決めていくのだが、高い売上を見込んで必要数以上の商品を店舗に投入すれば、廃棄ロスや値引きロスが発生し、利益を圧縮するリスクが高まる。一方、各商品の想定販売数を少なく見積もると商品はたちまち完売となり、売上機会を損失することになる。ベテランのバイヤーが適正数字を算出しても、想定と結果に乖離が出てしまうことは往々にしてあるのが事実だ。そこで各種データを分析することで店舗の最適な売り場作りをサポートしている田中と中村に白羽の矢がたった。年間で一番売上が高い12月、「収益力の回復」を目指すために、二人は動いた。

2章: 徐精度の高いデータ分析による「店舗間移動」の実現を目指す

2人は「店舗間移動」に関する「仕組み」の精度向上に取り組んだ。店舗間移動とはシンプルにいうと、売れない店舗から売れる店舗に商品を移動させること。年末商品は、適切な販売時期を過ぎれば無価値にも等しくなるため、どのタイミングでどの商品を店舗間移動させるかは収益力を回復する上で肝になるのだ。また、仕組みとは、全店舗の6000品目に及ぶ商品の売上、原価、利益、在庫数などのあらゆるデータが複雑な計算式のもとに保存されており、前年対比の売上進捗の確認から、店舗における各商品の消化率(販売数÷店舗内在庫数)などを瞬時に確認できるエクセルのファイルを指す。今回は、消化率が低い店舗の商品を消化率の高い店舗に移動させる店舗間移動の際に、ある一定条件を満たした場合には商品を移動する、という判断をエクセルファイルが自動的に弾き出すための基準を作っていく必要があった。その基準で店舗間移動を実行し、結果を振り返る、その繰り返しによって、最適な基準に近づいていくことができるからだ。昨年までは課長が4年ほど前から試行錯誤を重ねて作り上げたロジックに基づく仕組みを活用してきたが、収益力を回復させていくためには更なる精度の向上が必要になってきたのだ。

3章:精度を高める基準作り

まず中村が過去の売上データを、エクセルファイルに入力していく。データが蓄積されてくると「Aという商品が12月10日の段階でこの消化率であれば、他店から商品をいくつ取り寄せるべき」または「Bという商品が12/10の段階でこの消化率であれば、売れ残る可能性があるため、他店に○個をリリースするべき」という帳票が自動作成されていく。ただ、もともと売上高の大きい大型店舗には多くの商品数を投入し、中型店舗には商品数を抑えて投入することもあるため、数量としては売れていても消化率がたまたま低い大型店から他店に商品をリリースすべきか、という消化率だけでは判断しきれない状況がまま発生する。そこで中村は判断に迷うデータが出てきた場合は、その都度田中に判断を仰いだ。田中はその状況をメモとして蓄積していく。
そして田中は、数字が自動判断するための基準作りに着手した。一定の売上額で線引きをし、そのラインを下回る店舗には商品を移動させない方針を決めた。どの店舗も多くのお客様に商品を提供したいと思っている。ただ、より多くのお客様に商品を提供することを考えた場合、設定した売上ラインを下回る店舗に商品を移動することは、結果的にお客様に提供できる商品数の減少に繋がるリスクが高くなる。自らが設定した線引きのラインが絶対的に正しいという確証はない。だが、複数のデータを用いて設定したラインなので、結果に繋がるという期待と自信だけは忘れずに持ち続けた。

4章:未来に期待が持てる仕組みづくりの完成

12月に突入した。各店舗における各商品の消化率の推移は、日を重ねるごとにバラツキが出てくる。バイヤーが売上を見込んで投入した商品それぞれに、好調な売れ行き/不調な売れ行きの波が出てきてしまっている状態だ。そこで田中と中村は動いた。全店舗に一斉に「店舗間移動」の指示書を配信する。その数は合計150品目にも及んだ ————。  年が明けた1月、全店舗の12月の売上データが本部で集計された。9月から田中と中村が取り組んできた「店舗間移動」の精度は向上したのか ———— 結果は、二人が目指していた目標数値の「誤差2%」という驚愕の数字が出た。この数字から読み取れることは、売上の拡大、廃棄・値引きロスの減少、そして「収益力の回復」。田中も中村もどっと疲労感が湧き出る。嬉しいという感覚ではなく、心の底からホッとした、というのが正直な感想だった。
また、12月になれば「店舗間移動」の季節だ。その時までに今回のデータを分析し、より精度の高い仕組みを作り上げることを2人は求めている。

プロジェクトメンバー

田中主任

中村主任

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